米国株式市場見通し:FOMCが開催予定
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15-16日にかけてFOMC (連邦公開市場委員会) が開催され、会合終了後にはイエレンFRB議長の会見も予定されている。先日発表されたベージュブックや雇用統計は概ね良好な内容であったが、インフレ見通しを巡る足元の不透明感は強い。今回のFOMCでは、欧州中央銀行(ECB)が追加緩和策に踏み切ったことでFRBの金融政策、特に利上げの方針について何らかの変更が生じているかどうかに注目したい。
経済指標では2月小売売上高(15日)、2月生産者物価指数(PPI)(15日)、3月NAHB住宅市場指数(15日)、2月住宅着工・建設許可件数(16日)、2月消費者物価指数(16日)などの発表が予定されている。1月小売売上高がプラス改善となったことで、景気回復の兆しが示された。2月も予想を上回る好調となれば連銀当局者の中にも年内の追加利上げに向けて肯定的な見方が優勢となるだろう。
個別銘柄では、ソフトウェアのオラクル(15日)、製薬のバリアント・ファーマシューティカルズ(15日)、運送会社のフェデックス(16日)、グラフィックソフトのアドビ・システムズ(17日)、宝飾品小売のティファニー(18日)などの決算発表が予定されている。ティファニーは、ドル高による観光客の需要減少などから米国の売上が落ち込んだものの、日本で海外観光客の購入活動が旺盛となり、前年同期比17%の大幅成長となった。決算では引き続き日本の販売動向に注目が集まるだろう。
年初から2月中旬にかけての株価下落と、その後の反発を原油価格と株価の相関性で説明する向きがある。しかし本来、株価は企業収益の見通し、原油価格は需給の異なる要因で決定されるものであり、著しく相関性が高まる状況は長続きしないだろう。また原油と株式の市場規模の差から、株価が原油価格の変動要因となることがあっても、原油価格が株価を動かす主因となることには違和感がある。確かに中国など新興国経済の減速は鮮明となっており、今後も折りに触れて米国株が中国経済への懸念で売られる場面は想定されるものの、原油安が引き金となって米国経済の成長が大きく鈍化するという考えは行き過ぎだろう。
(Horiko Capital Management LLC)
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2016/03/12 15:51:54