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【フィスコ・コラム】下落続くトルコリラ安を止めるには・・・

出所:http://www.fisco.co.jp/media.html

米連邦準備制度理事会(FRB)による12月利上げがほぼ確実視されるなか、新興国通貨の下落に拍車がかかっています。足元では複数の通貨が史上最安値を更新中です。このうち、トルコリラは下げ止まる材料が見当たらず、インフレ圧力が経済に与える影響が懸念されます。


11月1-2日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、複数のメンバーが次回12月13-14日の会合での利上げが言及され、市場では引き締めを見込んだドル買い基調が強まっています。11月30日には石油輸出国機構(OPEC)総会での加盟国の減産合意でリスク要因が後退し、ドルは一段高となっています。対照的に、新興国通貨は売りが継続。特に、トルコリラは11月8日の米大統領選以降、次期政権の景気刺激策への期待を背景とした米債利回りの上昇で3.15リラ台から3.45リラ台まで10%近く下落しています。


トルコは経常赤字国で、国内市場や国民生活にどのくらい輸入品が浸透しているかを示す「消費財の輸入浸透度」が高く、通貨安はインフレ率の上昇に直結しやすい特徴があります。一方、輸出に関しては方面別で低成長に悩む欧州連合(EU)向けのシェアが高く、通貨安による輸出価格の上昇メリットを享受するのが難しい状況です。つまり通貨安になるほどデメリットの方がメリットを上回り、実体経済への悪影響が意識されてさらに通貨安が進むという悪循環に陥る可能性があるでしょう。


こうしたなかでトルコ中銀は11月24日、3つの金利は据え置きとの予想に反し、1週間物レポ金利と翌日物貸出金利の引き上げに踏み切りました。エルドアン大統領が中銀のこれまでの利下げを不十分と圧力をかけていたので、なおさら「サプライズ」となりリラ安は一服。しかし、下げ止まったわけではありません。FOMCに向けドル買いが強まる見通しで、リラの最安値更新は続きそうです。


一方、EUの欧州議会は11月24日、昨年再開したばかりのトルコのEUへの加盟交渉について凍結するよう加盟各国に求める決議案を圧倒的多数で可決しました。今年7月に発生したクーデター未遂事件や、その後のエルドアン政権の反政府勢力への対応が独裁色を強めていることが背景にあります。エルドアン大統領はEUへの移民流入を抑制する見返りに加盟交渉再開にこぎつけるなど外交上うまく立ち回ってきましたが、やはりクーデター未遂事件がじわじわ効き始めています。


トルコの国債利回りとCDSは7月以降、上昇基調が続きカントリーリスクが指摘され始めています。金利の上昇で投資家を引き付ける市場環境を政治情勢が邪魔しているようにみえます。トルコリラ安を止める方法はドル高を抑えるか、リラ安を食い止めるかのどちらかです。前者は米金融政策については読み切れませんが、トランプ米次期大統領の最初の年で景気対策などへの期待でドルは買われやすいでしょう。そうなると、政治情勢の不透明感を払しょくするのに有効な後者、つまりエルドアン大統領の退陣が期待されます。

(吉池 威)



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2016/12/04 08:37:04

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