ODK Research Memo(3):独自業務のウエイトは90%を超える水準
出所:http://www.fisco.co.jp/media.html
■事業内容と事業リスク
(1)事業内容
手掛ける事業は、学校法人、証券会社、一般事業会社等に対するシステム運用、システム開発及び保守と機械販売の3事業からなる。なお、子会社エフプラスはスマホ・タブレット端末向けアプリケーション開発や金融機関向けのシステムソリューションを提供する。2015年3月期の事業別売上高構成比(単体)は、システム運用88.5%、システム開発及び保守10.9%、機械販売0.6%となっており、安定性の高いシステム運用のウエイトが高いのが特徴。
ユーザー別では、教育業務、証券・ほふり業務、一般業務、金融業務、代行業務の5つ業務に分類できる。2015年3月期の業務別売上高構成比(単体)は教育業務58.4%、証券・ほふり業務29.1%、一般業務3.8%、金融業務6.1%、代行業務2.6%。なお、同社では、5業務のうち設立時から展開している金融業務と代行業務を除いた3業務を「独自業務」と呼び、そのうち教育業務と証券・ほふり業務を成長ドライバーと位置付けている。2015年3月期は、証券金融会社統合がマイナス影響となる一方で、教育業務、証券・ほふり業務が拡大したことにより独自業務のウエイトは90%を超える水準まで上昇した。
●教育業務
主に4年制大学向け入学試験業務、入学試験広報支援業務、模擬試験業務、Web出願等に関する情報処理アウトソーシングサービスを提供。1960年代から蓄積されたノウハウを保有することに加えて、入試広報支援から文部科学省への統計報告資料の作成まで、入試に関わるすべての業務を一括受託できるのが特長で最大の強みでもある。2015年3月期は約300万人と推定される私立大学受験者の4分の1強に当たる約80万人の志願者データを処理、処理件数は8年連続して大学入試センターの志願者数を上回る実績となっており、処理件数のシェアは民間企業でトップ。
2015年3月期末時点における入試アウトソーシングサービスのユーザー数は30校(大学27校、短大・専門学校等3校)、Web出願システム36校。入学試験に絡んだ業務は通常学内処理されているため、民間企業との競合はほとんどないのが現状。なお、同社と同様の業務を行う企業として、Web出願システムでは河合塾のグループ会社である(株)KEIアドバンス、入学試験アウトソーシングでは日本電子計算(株)(JIP)(現NTTデータ<9613>の連結子会社(株)JBISホールディングス傘下の事業会社であり、JBISホールディングスは2006年に日本電子計算と日本証券代行の株式移転により設立された持株会社)等がある。
●証券・ほふり業務
独立系地場証券会社を中心にサービスを提供する証券総合システム「SENS21」※、ネット証券等に提供している不公正売買監視システム「Watch21」と、証券会社や短資会社と(株)証券保管振替機構(ほふり)との接続業務等に関するアウトソーシングサービスを提供する。大阪証券金融とだいこう証券ビジネスのシステム開発・運用を約半世紀にわたり手掛け蓄積された証券バックオフィス、証券代行事務のノウハウを活用し、ユーザーニーズに対応できる機動性と事務代行支援ができること等が強みとなっている。ユーザー数(15年3月末時点)は、「SENS21」5社、「Watch21」1社、ほふり接続システム23社、NISA等の周辺サービス2社。競合は、JIP、岡三情報システム(株)、(株)大和総研ホールディングス等。
※創業以来培ってきた証券業務の知識と技術ノウハウを駆使し、自社開発したシステム。注文から決済に至る証券取引について証券会社に代わってデータ処理を行う。制度変更等の環境変化にも迅速に対応できる。
●一般業務
iOSやAndroidをベースとしたアプリケーション(教育コンテンツ)の開発・販売と、販売管理業務、テキストマイニング等に関するアウトソーシング、ハウジングサービスを提供する。
●金融業務と代行業務
設立時から展開してきたビジネスで、金融業務は日本証券金融(旧大阪証券金融)向けの証券金融業務等に関するシステムインテグレーション。代行業務はだいこう証券ビジネス向けのバックオフィス業務等に関するシステムインテグレーション。
(2)事業リスク
ODKソリューションズ<3839>のビジネスは安定的なシステム運用を主体としているが、システム開発及び保守、機械販売をともなう。これらは、景気動向、新技術、耐用年数等の影響を受けやすいため、状況次第では業績にネガティブなインパクトを与えることもある。
教育に関する事業リスクは、(1)他業種からの教育ICT分野への参入企業増加やWeb出願市場参入企業増加による競争激化(2)少子化による受験生数の減少、学生数の減少等による大学経営状態の悪化にともなう入試業務の学内処理化、廃業による顧客数の減少等を挙げることができる。一方、証券・ほふり業務に関しては、大手証券会社による独立系地場証券の系列化等によるユーザーの減少がリスクとして考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
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2015/07/06 16:48:35