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C&Gシステムズ Research Memo(6):蓄積した利益を3Dプリンタ関連の研究等の投資に向けさらなる成長過程へ

出所:http://www.fisco.co.jp/media.html

■今後の展望

C&Gシステムズ<6633>の業績(営業利益)はリーマン・ショックにより急速に悪化し、2009年には大幅な赤字を計上した。その後、合併により2010年に現在のC&Gシステムズが誕生し、業績は回復に向かい2014年12月期にようやくリーマン・ショック前の水準まで戻った。この状況において同社は、「2010年から2014年までの5年間は『回復過程』であったが、既に利益水準はリーマン・ショック前に戻り、内部留保も蓄積されてきた。したがって今後は、『成長の過程』に入っていく。それに伴い、株主への還元(後述)、従業員への還元(賞与等)、顧客への還元(保守サポート内容の品質向上)を実行していく」と述べている。さらに下記に述べるような戦略により、業績の更なる上伸を図っていく計画だ。

同社は中長期の事業方針として以下の3つの方針(戦略)を掲げてきたが、この方針は今後も変わらない。

a)既存の基幹収益源(国内CAD/CAM事業)の維持・拡張
b)成長する海外CAD/CAM市場の取込み
c)次代収益源との育成:SI事業および3Dプリンタ関連を含む新規事業

a)国内市場:既存の基幹収益源の維持・拡張
国内の金型市場においてはこれまで、主なユーザーである自動車・電機など多くの製造業各社に追随して海外進出する金型メーカーが増加していたが、円安継続および中国の景気減速、韓国の市況悪化等により、同エリアから撤退し日本に生産拠点を戻す企業、東南アジアへ進出先を切り替える企業が後を絶たない。これにより2000年には約12,000事業所あった国内の金型事業所数は、2012年には8,000事業所まで減少したが、2012年を底に、再び増加の兆しを見せている。このような国内市場において同社は、高精度・高品質な日本の金型製造に対応したCAD/CAMシステムの技術力・保守サービス力を活かし、現在20%程度である市場シェアをアップすることによって売上高を伸ばしていく計画であり、これを達成するために以下の施策を実行していく方針だ。

● 既存製品に対してはリニューアル製品の投入により他社製品の置き換え需要を取り込む。現在、この他社システムからの入替え(新規販売率)はシステム販売全体の約20%となっているが、今後はさらにこの数字を高めていくことで、既存製品の拡販を図る。

● 現在、平均して85%前後となっている保守更新率を今後も堅持し、既存顧客との関係をより親密にすると同時に収益基盤を一段と安定させる。

●戦略製品を早期に立ち上げて、多様化する顧客ニーズへ対応する。

以上のような戦略に沿って、主力製品の1つである金型5軸加工マシニングセンターに対応した「CAM-TOOL」の最新バージョンを2015年5月にリリースした。効率的な荒取り加工、加工時間の短縮、同時5軸編集など約50項目の機能を強化した最新製品となっている。さらにもう1つの主力製品である金型向け2次元・3次元融合型のCAD/CAMシステム「EXCESS-HYBRID」を8年ぶりに大規模リニューアルし「EXCESS-HYBRID II」として年内にリリースする予定だ。定期的なバージョンアップと異なり、約140項目の機能を強化した大幅リニューアルとなっている。

このように機能アップされた新製品を、保守契約顧客に対しては以前と同価格で提供していく方針で、これにより顧客ニーズを満たすと同時に新規顧客の取り込み、保守契約の継続を図る考えだ。

b)海外市場:成長する海外CAD/CAM市場の取込み
国内市場のシェア拡大を狙う一方で、同社が成長継続のため次に狙うのは当然、海外市場である。同社は主に以下の3つの戦略でこれを達成していくと述べている。

●日系企業への販売
国内市場で主要顧客であった日系メーカーの海外法人や関連会社に対しては、国内と同様な販売方法で保守やサポートサービスなどを提供する。すなわち、国内と同様のハイエンドの製品・サービス・保守を提供することによって、海外へ水平展開して顧客を取り込んでいく計画だ。

●ローカル企業への対応
さらにローカル企業を取り込んでいくことも今後の成長には欠かせない。ただし、同社の現行商品については、規格と価格面で、ローカル企業の水準との間に乖離が見られるため、ローカル企業向けについては、国内市場のような保守やバージョンアップ等の付随サービスを付けずに製品のみを売り切る方針にしている。また販売についても、このようなローカル向けの製品は同社の直接販売ではなく、パートナー経由での販売を進めていく方針だ。

●海外企業との提携・OEM
同社の海外戦略として次に重要なのが、海外企業との提携やOEM供給だ。国内の金型用CAD/CAM市場ではトップクラスの同社だが、海外市場ではまだまだ認知度・知名度も低く、単独で世界市場を開拓していくのは容易ではない。そのためには、海外企業との提携や得意製品のOEM供給などの戦略も必要である。同社では既にこの戦略を進めつつあり、その成果の1つとして世界でもトップクラスのライセンス数を誇る総合CAD/CAMメーカーである米国DSソリッドワークス社(以下、SW社)から「GoldProduct(ゴールド製品)」の認定を受けた。

(SW社のゴールド製品認定)
SW社は世界トップクラスの3次元CADソフトメーカーであるが、同社は2011年からこのSW社製品に適応した金型の3次元設計・製造に特化した「CGシリーズ」を販売してきた。このSW社適応の「CGシリーズ」のうち、3次元プレス金型設計用CAD「CG PressDesign」が、2014年2月にSW社から最終適合レベルである「GoldProduct」として認定された。言わば3次元プレス金型設計用のCAD/CAM製品としてSW社の「お墨付き」を得たことになるが、これは日本で初めてである。

さらにその後、金型・部品加工用CAMソフトウェア「CG CAM-TOOL」が2014年12月に、3次元モールド金型設計用ソフトウェア「CG MoldDesign」が2015年6月にSW社から「GoldProduct」として認定された。これにより同社は、プレス金型用、金型・部品加工用、モールド加工用の3分野でSW社から「GoldProduct」認定されたことになり、これは世界初である。

この認定によって同社製品のSW社製品との親和性が証明され、SW社ユーザーからの信頼度が向上するだけでなく、同社自身の知名度も世界市場において浸透していくことが期待できそうだ。

c)次代収益源の育成:SI事業と新規研究開発
第3の基本戦略として同社が進めているのが、CAD/CAM事業、金型製造に続く「次の収益源」となる事業だが、主にSI(System Integration)事業と新規研究開発の2つがある。

●SI事業の育成
まず第1は、現在既に行われている各種のOEM事業(三井ハイテック<6966>製の縦型プロファイル研削盤の中への同社製CAM製品の組込み、日進工具<6157>製の精密微細加工向けに3次元CAM「NS-Micro CAM」の提供、日本ユニシス・エクセリューションズ製3次元CAD/CAMシステム「CADmeister®」へのCAMエンジン提供など)を収益源としてより安定的なものにすることであり、今後もこのようなSI事業の育成を粛々と進めていく計画だ。

さらに現在、工作機械メーカー、工具メーカー、製品メーカー向けに製品カスタマイズ、受託開発、OEM提供などの話が進んでいるが、これらをさらに進めて具現化することが第2弾だ。実際に、菱商(三菱商事の子会社)のアレンジによって、同社のCAMシステムが国内工作機械メーカーの1つ、キタムラ機械の製品にバンドリング(組込み)されるようになった。また同社の金型3次元CAMシステム「CAM-TOOL」の形状加工用CAMソルバーが、アルゴグラフィックス<7595>のCATIA®版金型CAM「iBlue CLIKS」に提供されるようになった。

●新規研究開発
次に同社が次代の収益源の可能性として研究開発を進めているテーマの1つが、3Dプリンタだ。同社は、2006年頃から主に米国メーカー製の3Dプリンタを仕入れて販売する事業を子会社経由で行っており、現在の3Dプリンタの売上高はCAD/CAM事業部門の2~3%程度になっている。まだ年間に数台の規模であり全体の業績に与える影響は軽微である。

このような環境下で同社は、従来行ってきた3Dプリンタの仕入れ販売に加えて、CAD/CAM事業で培ってきた開発技術を生かした3Dプリンタ向けの「ソリューション開発・研究」を本格的に開始している。すなわち、単に3Dプリンタの販売だけを行い「用途はお客様がお決めください」ではなく、「このようなソフトを搭載すれば、このように使うことが可能で、このようなメリットがあります」というような「提案型(ソリューション型)」の販売を目指していくためだ。

具体的な研究テーマとして、「3Dプリンタを動作させるSTL※1データの研究開発」「3次元CADシステムから出力されるSTLデータの不整合部分の自動修正に関する研究」「3Dスキャナ等で取り込んだ膨大な点群からSTLデータを生成する研究(リバースエンジニアリング)」などを行っている。言い換えれば、金型用CAD/CAMメーカーとして長年培ってきた各種プログラムや事業ノウハウを3Dプリンタや関連ソリューションに生かす研究を行っており、これによって新たな付加価値を創造していく計画だ。
※1 STLとは「Standard Triangulated Language」の略で、3次元形状を表現するデータを保存するファイルフォーマットの1つ。3Dシステム社によって開発された3次元CADソフト用のファイルフォーマットシステム。

さらに研究開発段階ではあるが、経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)において、産学連携で3Dプリンタ関連のソリューション開発を展開している。これらを含めて、現在のOEM事業の売上高はまだCAD/CAMシステム事業の5%程度であるが、将来的にはOEM事業の売上高比率を少なくとも10%まで引き上げることを目標としている。

同社はこのようにコメントしている。「3Dプリンタについては、今のところ当社で機械そのものを開発する計画はない。当社が開発しようとしているのは、現有のCAD/CAMソフトウェア開発技術を生かした、『当社ならでは』のソリューションであり、これによりどの分野のモノづくりに貢献できるのかについて、これから絞り込みを図っていきたい。」

以上のような同社の中期的戦略は、同社が掲げている「グローバル・ニッチ・トップ」という目標に要約される。すなわち金型用CAD/CAM市場という特殊な「ニッチ市場」において、今後は「グローバル」で「トップ企業」となることが同社の大きな目標である。まずは金型市場が回復の兆しを見せる国内市場においてトップとなることが、金型向けCAD/CAM市場におけるトップ企業への第一歩となるだろう。今後の動向を大いに注目する必要がありそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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2015/09/18 09:13:35

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