為替週間見通し:ドルはやや底堅い展開か、原油高などを意識してリスク選好の円売り継続へ
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■日米金利差拡大や原油高を意識してドルは堅調推移
先週のドル・円は堅調に推移した。米長期金利の上昇や原油先物の堅調地合いを好感したリスク選好的なドル買いが広がった。9月の米ISM製造業景況指数とISM非製造業景況指数(総合)はいずれも改善したことや、新規失業保険申請件数の減少はドル買い材料となった。日米金利差(長期金利)の拡大を意識したドル買い・円売りも観測されており、ドルは一時104円16銭まで上昇した。
ただ、7日に発表された9月雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったことから、利益確定を狙ったドル売りがやや活発となった。8月の非農業部門雇用者は上方修正されたが、9月雇用統計はインフレ加速を示唆する内容ではないとの見方が多く、米長期金利の上昇は一服。ドル・円は103円台後半から102円80銭まで下落し、102円90銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:101円18銭-104円16銭。
■ドルはやや底堅い展開か、原油高などを意識してリスク選好の円売り継続へ
今週のドル・円はやや底堅い動きとなりそうだ。英国政府は欧州連合(EU)からの離脱について来年3月までに離脱の意思を正式に通知し、交渉が開始されるとみられているが、離脱交渉の長期化によって英国経済の悪化やポンド安の進行が懸念されている。ユーロ圏経済にも影響を及ぼす可能性があることから、ドル選好地合いが強まっている。
主要産油国の減産合意を背景に原油価格は持ち直しており、米長期金利の上昇が観測されていることから、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。9月米雇用統計は予想をやや下回る内容だったが、年内利上げ見通しは変わっていないことから、ドル高・円安の基調は今週も続く見通し。
ただし、支持率調査で民主党クリントン候補の支持率は伸び悩んでおり、共和党トランプ候補の支持率が上昇した場合、リスク要因として再び意識される可能性がある。10月4日に行われた両党の副大統領候補によるTV討論会では、共和党ペンス氏が民主党のケーン氏をリードした。9日に予定される第2回の大統領選TV討論会でトランプ氏が優勢となった場合、ドル上昇は抑制される可能性がある。
また、12日には9月20-21日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事録が公表される。足元の米経済指標はまちまちの内容だが、雇用や景況感に関する指標は悪くない内容であり、年内利上げへの期待は持続している。しかしながら、FOMC議事録が来年の引き締めペース鈍化を示唆する内容だった場合、積極的なドル買いは手控えられる可能性がある。足元はドル買い・円売り優勢の地合いとなっているが、FOMC議事録公表後にドルの上値はやや重くなる可能性は残されている。
【米大統領選第2回TV討論会】(9日開催予定)
9日(日本時間10日午前)に民主党クリントン氏と共和党トランプ氏による第2回TV討論会が行われる。9月26日の第1回はクリントン氏が優勢と判断されており、ドル買い材料となった。ただ、その後の支持率調査では両者は接戦状態となっており、TV討論会でトランプ氏が優勢となった場合、ドル安・株安の相場展開となる可能性がある。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録】(12日公表予定)
9月20-21日に開催したFOMC会合の議事録では、年内利上げの可能性と今後の利上げペースに関するメンバーの見解が注目される。インフレ進行の可能性は高まっていないとの指摘が多かった場合、来年の利上げペース鈍化につながる要因となることから、ドル売り材料になる。
予想レンジ:102円00銭-105円00銭
<FA>
2016/10/08 14:51:56